世間では、「HDだ、DVDだ、ハイブリッドだ」とデジ物大人気のようだが、うちでは世間の流れから少し離れて、D-VHSというマニアックなビデオレコーダーが大活躍している。
簡単にD-VHSを紹介すると、VHS規格のカセットテープにデジタルデータを記録するというもの。 少し変則的な仕様に思われるが、磁気記録方式のデジタルデータ保存メディアといえば、まずフロッピーディスクが思い浮かぶ。 今となっては光ディスク系やIC系が主流メディアとなりつつあるが、HDDの仕組みはいまだに磁気記録方式で進化し続けている。 ちなみにMOやMDはこの光系と磁気系のちゃんぽんメディアだ。
先日、アウトレット家電店に行きビデオテープを購入した。 この時期、F1シーズンともなるとテープの消費量はピークに達する……。
いつもなら2000円強の価格設定がされいるはずのS-VHS10巻パックが、この日はなんと1760円とお買い得価格だ。 というよりこのS-VHS10巻パックが在庫していること自体が珍しく、在庫が無ければ渋々700円強の3巻パックを購入していた。
別コーナーでDVD-RAMが安売りしているのを発見する。 10枚パックが1600円で、5枚パックが750円と、普段よりも割安だ。 都合よく好みの薄型ケースだし、これは買うしかないぞと……。 にしても、5枚パックを2パック買う方が安いという価格設定が気になってしょうがない。
結局、SONY S-VHS10巻パック(10VXST120VL J)を1つと、maxell DVD-RAM5枚パック(DRM120ST.1P5S)を1つ購入する。
レジへ持っていくと、「ポイントカードはありますか?」のような店員さんの発言から、続いて、「カード提示で20%現金割引中」とな。
「なっ、なにぃー!」
いつもなら、「ポイントなんてべつにいらねぇし……」的なものぐさ感覚で、貧乏なくせにポイントカード未提示買いをするのだが、この20%現金割引は違う。 違いすぎる……。 すかさずTEL番でカード情報を照合してもらい20%割引適用買い。
「うほぉーぃ。」
- S-VHS 10巻……1760円→1408円
- DVD-RAM 5枚……750円→600円
DVD-RAMに関しては、PCショップ系の扱いでこれと同額レベルかさらに安くも買えたりするが、S-VHSはまずありえない値段だ。 去年ぐらいに2000円超えで普通に買っていたわけだし、売れ筋でもないこの手のニッチでマニアックな商品は、じりじりと値段が上昇しながら、やがては店頭から消えてしまうのが通例。
なんなんだろうこの勝負感……。
で、このS-VHSとDVD-RAMは単価的に150円前後で、動画記録用としては双方共に標準120分録画をうたっている。 だがこれは表面的な目安の数値であり実際には大きな差がある。 DVD系のレコーダーではなく、あえてニッチなD-VHSを選んだ理由もそこにあるのだ。
単純に、記録可能なデータ容量をみれば一目瞭然で、
- S-VHS 120(D-VHS記録方式)……25GB
- DVD-RAM 片面……4.7GB
実に五倍以上の差がある。
最大ビットレート(画質に影響する)も同様に、
- HS……28Mbps
- DVD-Video……10Mbps
これが双方の最大ビットレートで、三倍近い差がある。 ちなみに、D-VHSはこの最高画質モードであるHSで120分録画可能だが、DVD-Videoの最高画質モードを使うと120分記録することは不可能となる。
細かい話になるが、D-VHSの場合、ある一定の決められた速度でテープを回し続けるので、ビットレートも一定(固定)となる。 DVDの場合、最大レート以下でビットレートは上下(可変)できる。
データの扱いとしてはDVDに軍配が上がるが、結局のところ容量と最大ビットレートでD-VHSが圧勝してしまう。
もう一つ、ハイビジョン録画についてもDVDでは対応できない。 デジタルハイビジョン放送とは、20Mbps以上ものビットレートで流されていて、DVDの最大レートを大きく上回ってしまう。 このデジタルハイビジョン放送の超大レートに唯一対応したのがD-VHSだったというわけだ。 なのでD-VHSが登場してからしばらくの間は、デジタルハイビジョンレコーダーとして宣伝され位置づけられていたように思う。
今後の流れとしては、DVDの次とされるHD-DVDやBlu-ray Discが普及価格帯にまで落ちてくれば、D-VHSの役目もやっと終われる、といった感じだろう。 しかし、まだまだ退役は先のことになりそうだ。
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